とっておきのフレンチレストランをご紹介しましょう。
苦楽園・イカリスーパーの裏手、少し北にあります。
ビストロと出ているように気楽なレストランですが、
本格的な、そして旬の素材を見事に活かした
嬉しいメニューの数々です。
本格的にハレを演出するディナーとしても、
ちょっと今日は何かプロバンス風のモノでも食べようか…
というような時でも期待を裏切ることはありません。
エントランスはビストロの情報がたくさん有ります。
きれいな花鉢の傍には大きなメニュー、
それも手書きの黒板メニューが嬉しいです。
近寄ってよく見ると・・・大体のお値段もコースの組み方も
アラカルトもわかります。
南仏のリゾートのレストランのように、
その日のおすすめが出ています。
そして中に入るとオープンキッチンにカウンター席があります。
これこそ僕にとっては重要なポイント。
空いていれば必ずカウンターに座ります。
なんと言ってもシェフの腕をまじかに見ることができ、
厨房の無駄の無い連携プレーを見ているだけでワクワクしてきます。
『フムフム・・あんなグリルパンを使うのか・・』
『蒸し器が出てきたぞ…真鯛を蒸す??すごい何でも取り入れて
美味しくしてるんだ』と他の人のオーダーも楽しんでしまいましょう。
テーブル席ははしばみ色のテーブルクロスが
少し大人の雰囲気を出しています。
比較的家族や大人数のゲストも多いようですが、
落ち着いたインテリアが時間を忘れさせてくれます。
さてさていよいよ出てきました。
アミューズは 《オリーブとガーリックトースト》
最初は生ビールで頂きました。
そしてラッキーなことには少ししか素材が残っていなかった
《グルヌイユ》を出していただきました。
カエルさんです。ニンニクのピュレが真ん中に、
大きなブイヨン鍋から少し取り分けたスープを煮つめ、
パセリの微塵切りを散らし、ニンニクの香ばしい匂いがたまりません。
2秒で平らげました。南仏の味です。
ここでおすすめの白ワイン。
"Chateau de Tracy pouilly fume"を頂きました。
さっぱりとした中に酸味が利いています。
少し若いらしいですが文句の無いワインでした。
いよいよ期待していた一品。ホワイトアスパラの登場です。
《ホワイトアスパラガス・オランデーズソース》
日本でもいまの季節、デパートなどの高級野菜売り場では
見かけますが、なんと言ってもサイズが違います。
直径2センチ以上長さも23センチくらいの大物。
フランスからの直輸入だそうです。
茹で方がまた抜群、こりこりとした歯ごたえに、
タマゴをふんだんに使ったオランデーズソースが絡みます。
かなり濃厚な味ですが、白ワインが直ぐに口の中を
さっぱりしてくれます。
スペイン、特にカタルニヤでもアスパラはよく食べますが、
バルセロナではやはりマヨネーズが多かったようです。
(マヨネーズは地中海のメノルカ島の伝統的ソース、
ナポレオンが好きだったらしい)
オランデーズソースの滑らかな口当たりと、
アスパラの食感が満喫できたオードブルでした。
《流れ子のバター焼きレモン添え》
新鮮な流れ子(とこぶし)は今の季節の贅沢品です。
我家では和風出汁で煮含めたものなどを作ります。
今日はフレンチです。
肝の味がバターやレモンとマッチしてとても美味しいです。
歯ごたえも充分、そして上にのっているトマトの酸味が
おしゃれなイタリアンテイストを出しています。
サラダもいろんな野菜がかなり多めに盛り付けてあるのも
嬉しいかぎりです。
《鱸のフレッシュハーブ焼》
サカナというのは火の通し方で決まるといってもいいでしょう。
絶妙の火の通りは、皮がパリッと香ばしく焦げ目をだし、
身はあくまでふんわり弾力を残す…。
美味しいです。なんと鱸の盛り付けには鳴門のワカメがありました。
これまた美味美味。
野菜の煮込み(ラタトィユらしきもの)になんとレンコンが。
自然な甘味の中のレンコンの歯ざわり『秀逸!!」と
叫びそうになりました。
鱸のハーブ焼という、言わば普通の一皿に驚きがいっぱい有りました。
これぞ臨機応変ビストロシェフのスーパーアイデアでしょう。
《パン》
パンはフレンチにとってもイタリアンにとってもとても大事です。
箸休め的な趣もありますし、口直し的な要素もあります。
そして、ここのパンは手創りの美味しいパンです。
自家製のこのパンは数が作れないとかで、夜のみとなっていますが、
オリーブとローズマリーの風味の他では味わえない逸品です。
皮のぱりっとした感触と同時に感じるふわっとした
ローズマリーの香りを楽しめます。
さて、今夜のメインは何でしょう?
《ブレス産小鳩のロティ・ドライフィッグソース》
ドライフィッグ??分りませんか?
実は僕も分りませんでしたから、ご安心を。
マダムにお尋ねするとそれはイチジクとのことでした。
北新地あたりのお店でお洒落な所では時々おつまみで登場しますよね。
あれです。
小鳩とイチジク・…期待が膨らみます。
ロティというのもオイルを廻しかけながらじっくり火を通す手法・・。
鴨などでおなじみです。ブレスというのも鶏では有名な産地です。
期待が満潮に達した時に出てまいりました。
目の前で一羽をカットして頂いて一皿に盛り付けてくれています。
ちなみにこの段階からワインは"Chambolle Musigny 1996"です。
かすかに獣臭のあるブルゴーニュの産です。
もちろんムッシューのおすすめ。
鳩といえば血の味を楽しまなければいけません。
野性味溢れる濃い味は、このような個性的な赤ワインが
両者を盛り立ててくれます。
一口目は甘さが先にきました。イチジクソースの自然な甘さ、
そして鳩独特の肉の味がじわっと広がってきます。
小さな手羽先はよくオイルを廻しかけられた
カリッとした感じが楽しめます。
いよいよ胸肉です。カットすれば赤く見事にロティされた
鳩肉がが目を楽しませてくれます。
これぞ血の味を楽しむ時でしょう。
イチジクソースがここでいかんなく実力を発揮します。
濃い肉の味に自然な甘さのソースが絡み合って…
『ウウウウゥマアア――イ。・・・・・・・・・・・・・・・』
口をききたくないので黙って食べてしまいました。
鳩を喰うというゴージャスな(表現が陳腐ですが)夜でした。
ちょっとびっくりしたのが付け合せの小さなグリンピースでした。
美味しいグリンピースって食べたことないですよね、あんまり。
ところが・・
本当の豆の匂いがして美味しかったのです。
赤ワインが少し残りました。
そうです、《チーズ》です。
うれしいことに誰が頼むのであろうか・・と思われるほど、
いつもチーズが素晴らしいのです。
(想像するにこれはムッシューが楽しんでいると思います)
チーズはそう詳しくはありませんので、
いつもムッシューのおすすめに従って数種類を頂きます。
熟成が時を得たフロマージュ(仏語でチーズのことですぞ)が
ワインとまた合うのです。
極楽極楽!!
極楽ついでにカルバドスを頂きます。
「勝手にやってください」とムッシュー。
『ええんかな??』と僕。当然やりました。
隣ではデザートを食しています。
《枇杷のシャンパン・ゼリー》
まるでシャンパンを飲んでいるようです。
そして枇杷にはかすかにアニス酒の風味が…南仏ですね、この香り。
《ビスタチオのクリーム・ブリュレ風。フランボワーズ・タンカンの2種のシャーベットとアイスクリーム添え》
これはもう参った参ったというしかありません。
毎回行くたびに『参った』をして超満足に帰路につく私です。
ビストロ・ボンボン
西宮市越木岩町6−20−101
電話0798−72−5014
ムッシュー由良さんと、マダム。
それとチームワークのいい素適なスタッフです。
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