Message&Profile Back


アナログからデジタルへ・・・

 イラストレーターとして、歩み始めて23年。
当たり前のことですが、初めからコンピュータで描いていたわけではありません。私は、元々デザイン業界でイラストを描いていたので、クライアントの要求に応えて絵を書き上げていました。そのため、ありとあらゆる画材、画法を使っていました。えんぴつ、ボールペン、カラーインク、パステル、アクリル絵の具、そして筆、エアーブラシ、割り箸、指など。 その画材の一つとして、13年前にコンピュータ(MAC )が加わりました。その頃は、まだまだコンピュータの性能も低く、データをセーブする間にお風呂に入れるほどだったのです。(はたして信じてもらえるだろうか?)
コンピュータ技術(ハード&ソフト)のめまぐるしい進歩の中、あっと言う間に古いバージョンになります。私は、いつの間にか付いて行けなくなり、早くも、時代遅れとなっています。そのうち、デジタルそのものまでが時代遅れに・・・。



デジタルとアナログの境界線を塗りつぶせ

 当時は、デジタルとアナログの二刀流でした。時の経過とともに、その比重はデジタルに傾いていきました。今では100%モニター上での作業となりました。(下絵から完成まで)しかし、私は決して手描きを否定するものではありません。どちらかといえばアナログの方が好きです。では、なぜ私はコンピュータで描くのでしょうか?見ていただければ分かると思うのですが、私の絵はデジタルでなければ描けない絵ではありません。3D ソフトを使っていないので、時間をかければ筆で描くことができるものです。しかし、私の中に内在する時間の枠で、どれだけに絵を描き残せるかと考えた時に、私はコンピュータのその処理能力に頼ることを選びました。次々と浮かんでは消えてゆく私の中の風景を描き止めるには、コンピュータは不可欠だったのです。
(私は、とてもすばらしい画材を手にいれました。)
しかし、重要な点はデジタルというイメージを私の作品からは感じ取られないように心掛け、実際、作業行程は紙に筆で描くのと同じで、色を塗り重ねていく手順です。デジタル上で、アナログ作業(手描き)をしているということになります。

今、私の制作に最も適したものとして、傍らにコンピュータがあります。

 だから、私はアナログやデジタルという枠を越えて、絵をみてもらいたいのです。プロセスではなく、目の前にあるものをまっすぐにみてください。 技術・技工が、どうしても評価の対象となり、私の心理・感情などの表現したい部分にまだまだ見入ってもらえてない現状があります。これが、これからの私の大きな課題です。

 そして、みなさんが、自由に崖を登り、川を泳ぎ、時には雲に乗って、私の絵の中を冒険してほしいのです。

内尾和正


内尾和正 Profile
1959年 岡山県に生まれる。
1979年 大阪デザイナー学院イラスト科卒業
1981年 大阪にてフリーのイラストレーターとして独立
主にエアーブラシによるリアルイラスト制作
1992年 MacintoshによるCGイラスト制作を始める。
*キリンコンテンポラリーアウォード’92入賞
1993年 アトリエを岡山に移転
1994年 *HUMANエンターテイメントコンテスト入賞
1996年 *読売新聞社インターネット美術館グランプリ受賞
1997年 *日経アート ヴァーチャル・アート・コンテスト準入賞
*DIGITAL CREATION AWARDS入選
1999年〜2001年
  映画制作『ファイナルファンタジー』マット画制作
2001年 *映画『エボリューション』キャラクターコンペ準優勝
2002年 *SKIPクリエイティブヒューマン大賞・最優秀賞受賞
2003年 4月大阪個展開催予定


穣湖の岸 源樹の森 浮遊の郷


Back