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小さい猫、すなわち0才から0.6才位の猫の場合には、途中でそそうを起こしても連続して四回は撫でられる様に、座蒲団の四隅を使い一等端にちょこんと乗せてから、中指と人差指の二本で、カナリアのしゃっくりを止める時の要領で、首の付け根からうしろへゆっくりと撫でおろす。この時、二本の指には均等な力を加えて撫でないと、この猫が大きくなってから前足に無理が生じて、油蝉につまずいてころぶようになり、目の上に三日月形のたんこぶを作り、来るべき健康優良児の選考の予選にすら失格する様な、だらしの無い猫になる。又、猫が気持ち良くもだえるからといって、逆撫でする人がいるが、これは著しく猫に取って失礼な事であり、断じて教養のある皆さんはこんなオロカな真似をしてはいけない。何故なら、不幸にして四回以上逆撫でされた猫は、公民館の裏で拾った「愛染たわし」にブラシをかけた様な、影の薄い猫になって将来成功出来ない。 次に、大きなトラの様な猫の場合であるが、これは大掃除の時、畳をめくった時出て来る子供会の案内状とか、黄変した愛国新聞とかの上にネジふせて、竹ボーキの様なものでタタく様にして撫でるのが本人の為であり、膝の上で撫でる等といった初歩的な過ちをおかしてはいけない。竹ボーキを噛み折る位の猫は、どんな町でも一〜二匹はいるもので、もしそんな猫を見たら、愛国タクシーの青木さんに電話して、ひき殺してもらわねばならない。これを馬鹿にして守らない人は、トラ猫に噛み倒されてネコんでしまう。これは真実に基づく実話であり、二匹の猫と遊びながら御教示頂いた事なのであるからして、絶対に正しいのだ。 |